よく勉強している人ほど、教えるのがヘタな理由

From: 中澤順 


 @夕方のタリーズより、、、  


後輩がこちらの言うことをぜんぜん理解してくれない・・・


仕事終わりの友達から相談を受けました。 


友達曰く、「職場の後輩に仕事を教えることになったものの、その後輩がこちらのことをぜんぜん理解してくれないので、イライラしている」のだとか。 


 「おいおい、ちゃんとその後輩に仕事の内容を教えているんだろう?」 


 「もちろん教えているさ。でも全然ダメだな。こっちの言うことがまるで分からないらしくてさ。困ったもんだよ。」 


 そうため息交じりに話す友達。 


 「お前も新人だった頃は先輩に散々迷惑かけただろうに。いったいどの口がそういうか。」


 「そりゃあたしかに俺も昔は先輩によく怒られたけどさ。でもやっぱり、後輩の物覚えの悪さにはちょっと驚く。」


 友達の、職場の後輩へのディスりは留まるところを知りません。

 もし居酒屋で酒でも飲みながら話を聞いていたら、そのまま飲みすぎて酔いつぶれていたかも知れません。 


 もっとも、裏を返せば、「こいつならこちらの言うことをちゃんと理解してくれるはずだ」と、知らず知らずのうちに期待していたのかも知れません。

 それが期待を裏切られてしまったと感じてしまったので、こうして愚痴めいたことになってしまっているのかなぁとも感じました。 



 ぼくも似たような経験があります。


 ぼくは一生懸命伝えているのに相手にはちっとも伝わらない。 

あれこれ切り口を変えて熱っぽく伝えてみるも、やっぱり伝わらない。 

しまいには相手のせいにして「なんでこんなことも分からないんだ!」と怒ってしまう。 


 相手は相手で、なるべく理解しようとしてくれます。 

ですが、相手からすれば初めて聞く言葉ばかり出てきて、理解するのも一苦労。 

しまいにはストレスと怒りが溜まって、「もっと分かるように説明しろよ!」と怒り心頭に。



そういった失敗をなんどもなんども経験しました。

特に大学生時代にサークルやバイトをしていたときは、こういった失敗をすることが多かったです。


 しかし、なぜこうも相手に分かってもらうのが難しくなってしまうのでしょうか? 



なぜ、あなたの伝え方はわかりにくいのか? 



ぼくが講師の仕事を始めたのは、大学生の時でした。

もちろん、講師の仕事を始めたばかりのときは素人です。 

うまくいかないことばかりで、いろんな失敗をしてきました。 


そして、失敗しながらいろんなタイプの子を教えているうちに、だんだんと教え方/伝え方のコツというものが分かってきました。


 指導がうまくいっていなかったとき、ぼくは 「自分が理解・身につけたことは、相手も理解できるし身につけられて当たり前」だと思っていました。 


 ですが、実はそれは大きな間違いでした。 

「自分が理解・身につけたことは、相手にとっては難しすぎるし、身につけるにはかなりの時間がかかる」というのが正しかったのです。


たとえば、パソコンの操作などはその良い例でしょう。 

ぼくは仕事柄、一日中パソコンを触っているので、キーボードのショートカット入力(例、ctrl+c)やタッチタイピング、オフィスソフトを始めとした各種アプリケーションの使い方、ウェブブラウザで素早い検索する方法については熟知しています。 


 ですが、パソコンをあまり使わないうちの母にとっては、そういった操作はなじみがなくて難しすぎるのです。 

どうしても母一人でパソコンを操作しなくてはならない場合、事前にこちらが何度も何度もやり方を伝える必要がありました。 


特に、ウェブブラウザにお気に入りサイトをブックマークする方法を身につけてもらったときは、最低3回はやり方を伝えました。。。


ですが、ぼくもパソコンの操作を覚える前は、その操作を覚えること自体が面倒くさいと感じたり、難しいと感じていたはずでした。 


しかし、一度その操作が身についてしまうと、その操作を覚えるのが面倒だとか難しかったこと自体を忘れてしまうのです。 


 このように、「いったん、何かを知ってしまったら、それを知らない状態がどんなものか、うまく想像できなくなる状態のこと」を、「アイデアのちから」 という本では「知の呪縛」と表現しています。


 いちど知の呪縛に陥ってしまうと、そこから抜け出すのは容易ではありません。

 なぜなら、「今の自分にとっては、その知識はごく当たり前でかんたんなこと」だから。

 「なんで相手はこんなかんたんなことも分からないんだろう?」と悪びれもなく考えてしまいがちだからです。


でも、あなたも、知識を習って身につけるにはそれなりに時間がかかったはずです。 

なのに、身につけた途端、分からなかったときのことをコロッと忘れてしまう。

あなたが身につけてきた知識や経験は、実はとっても難しいものだったのにもかかわらず。


 「よく勉強している人」ほど、この知の呪縛に陥ります。

 逆に言うと、よく勉強しているからこそ、「自分が身につけてきた知識や経験は、実はとても難しい」という当たり前の事実が見えなくなってしまうのです。 


自分が分からなかったときの気持ちを忘れてしまっていること。 

それこそ、あなたの説明が相手に伝わらなくなっている原因なのです。



知の呪縛を解くには? 


このように知の呪縛は、「自分にとって当たり前のことは、相手にとっても当たり前(だからこれぐらいできて当然でしょ?)」と思い込むことから始まります。


 ならば、知の呪縛を解くには「自分にとって当たり前のことは、相手にとっては難しいこと(だから、ちょっとでもできたらすごい!)」と捉え直すことが大事になります。


そのためにはどうすればよいか? 


この点、「アイデアのちから」 では、知の呪縛を解くために次の6つの原則を提唱しています。


- 原則1__単純明快である
- 原則2__意外性がある 
- 原則3__具体的である 
- 原則4__信頼性がある 
- 原則5__感情に訴える 
- 原則6__物語性がある 


人にものを教える前に、事前に原稿を用意し、 この6つの原則に照らして、チェックします。 

こうすることで、知の呪縛を解くことができる、、、、としています。


 ですが、正直なところ、ごく普通の人が実践するにはハードルが高いように感じました。

 「アイデアのちから」はマーケター必読の書と言われる内容なので、マーケターは(めんどうであっても)上記の6原則に照らし合わせながら、表現を修正していく必要があります。が。


ですが、ごく普通の人にとっては、もっと使いやすく、シンプルな原則であったほうが使いやすいと思います。 


ぼくが考える原則とはたった1つだけ。

「小学校5年生でも分かるように説明する」というものです。 



「何か知りたがっている小学校5年生」が目印 


人によっては、小3〜小6というように、想定する学年にいくぶん幅があります。 

また、テレビドラマの脚本の世界では、小3の語彙力で書くのが基本のようです。

ただ、どの人も「小学生」をイメージしている点では同じです。 


この点、中学生以上をイメージしている識者はいませんでした。

中学生以上をイメージすると、とたんに言葉が難しくなってしまうからだと思います。


ぼくはイメージする対象を小5としていますが、これは「小5=学習内容が難しくなり始める学年」であり、知識のベースを作るうえで重要な年齡だと捉えているからです。


単に小学校5年生をイメージするよりは、「何か知りたがっている小学校5年生」をイメージすると、説明がうまくいきやすくなります。 (人にものを教える都合上、「何かを知りたがっている人」をイメージするのは大事です。「知ろうとしない人」にものを教えるのはかなり難しいです。。。)


あくまでぼく自身の経験ですが、「何か知りたがっている人=小5」と捉えて相手に説明することで、知の呪縛を解けるようになったと感じています。 


たとえ年長の方や専門家の方が相手でも、小学校5年生が分かるように意識して説明をすると「君は説明するのが巧いね!」とフィードバックをもらえるようになりました。 

説明してもうまくいかないことが続いていたぼくにとって、これは大きな自信になりました。



記事の冒頭でぼくに相談してきた友達にも、この「知の呪縛」がもたらす悪影響について話してあげました。 

どうやら目から鱗だったらしく、次に後輩に説明するときは小学校5年生を意識して話すようにしたようです。 


もしかすると、職場のコミュニケーションで損している人・得している人の差は、この「知の呪縛」にあるのかもしれません。 

ほんのささいなボタンのかけ違いを直してあげるだけで、職場でのコミュニケーションがレベルアップすると思いますよ。 


 ー中澤順 


PS. 

そうそう、大事なことを言い忘れていました。


 「何か知りたがっている小学校5年生」をイメージして相手に話すことがもちろん大事ですが、相手にこちらの言うことが伝わったら、そのたびにほめたり、喜んだりして肯定的なリアクションをあげてくださいね。 


相手は、誉められたら嬉しくなって、もっともっと知りたくなっていきます。

しまいには、こちらが何も言わなくても勝手に勉強してくれるようになります。 

ぜひたくさん誉めてあげてくださいね。

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